水の分布
生体内の水分の約2/3は細胞内にあり、残りの1/3は細胞外にある。細胞内の水分は細胞内液として、細胞外液は組織間、血漿、リンパ液として存在している。
生体内で水分が過剰となった状態、浮腫となった場合、影響の少ない部分の水分を増加させることで代償するため、細胞間液量が増える。これにより、電解質組成は著しい変動を示さない。
水の機能
様々な物質を溶かすことができ、溶媒としての他、熱伝導率が大きいため熱を素早く拡散することもできる。
ヒトの体水分量
- 乳児で80%
- 成人男性65%
- 成人女性55%
- 高齢者50%
水分の含有量の多い乳幼児の脱水症状は、命に関わる危険があるため、炎天下での水分補給は重要。
女性は男性より脂肪があるため、体水分量は少なくなっている。また、肥満により体脂肪が多い人も、水分量が減るため、体水分率をあげるには、体脂肪を適正にすることが必要。
必要な水分量
ヒトが水分を得る方法は主に3つ。
- 口から直接
- 食事から(約1,200ml)
- 体内で生成(約500ml)
と言われている。
体内で生成される水分は代謝水といい、栄養素が代謝されることにより得られる水分。これは栄養素の種類により、
- 糖質1gが燃焼すると0.56ml
- 脂質が1g燃焼すると1.07ml
- タンパク質が1g燃焼すると0.39ml
の水がそれぞれ生じる。日常摂取する栄養素の中で、もっとも多いのは糖質なので、主な代謝水量源は糖質となる。
試しに計算してみる。
PFCバランスで、糖質50-65%、脂質20-30%、タンパク質15-20%、これを成人女性アラサーのエネルギー摂取基準、1,700kcalとして、糖質55%、脂質25%、タンパク質20%とすると
糖質|1700×55%=935kcal÷4kcal=233.75g×0.56=130ml
脂質|1700×25%=425kacl÷9kcal=47.22g×1.07=50ml
タンパク質|1700×20%=340kcal÷4kcal=85g×0.39=33.15ml
代謝水合計130+50+33.15=213.15ml
ここを頼ることはないけれど、なかなか少ない。
成人が1日に必要な水分量は、体重1Kgあたり50ml。
例えば体重60Kgのヒトの場合、
1日あたり60kg×50ml=3000mlとなり、そこから食事と体内生成量を引くと、
3000−1200−500=1300mlとなる。これが口から、つまり水分摂取に必要な目安となる。
1日に出入りする水分量
尿としての排泄と、それ以外の不感蒸泄があり、尿は1日約1,000〜1,500ml排泄される。
不感蒸泄は皮膚表面や呼気から失われる水分のことで、汗は含まれない。これらが1日800〜1,000ml程度。
【参考文献】
木戸康博・中坊幸弘編(2003-2010)『基礎栄養学第2版』 講談社
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