アウトラインをかける理由1:フォントの埋め込み漏れの回避
数日中で気になった、話題になった内容。
PDFならフォントが埋め込まれているので必要がなさそうだけど、必要ない意見とアウトラインはかけるべき意見が存在する。
入稿の時点で分からないのは、入稿先がどのようにPDFを扱うかということ。製版のお仕事なのか不明だけど、PDFをイラレや別のソフトで開いたときに文字化けが生じるとかがあるのでしょうか。
実務ではだいたいにして「アウトラインかけたPDFね」とご指導いただくので、そのままそうしてきたけれど、アウトラインをかける行為自体が不要ならば、やらなくてもよさそうだし、不要なミスを生じそう。そこで、ネットの情報を収集してみる。
埋め込めないフォント(ってなんだ)の場合はアウトラインをかける。なるほど、それは理解できます。
埋め込めないフォントってなんぞ。簡単にまとめると、フォントのライセンスで、埋め込みを許可していないものだそう。普通に使っている分にはぶつかることはなさそうだけれど、特殊なフォントには要注意。
OCFフォントという、古きフォントは埋め込みができないため、万が一に備えればアウトラインをかけるべきかもしれない。今や販売されておらず、Macでも使えないらしい。
Adobeソフトの指南役サイトでも、PDFをアウトラインはそこまで推奨されていない。というより、Acrobatでアウトライン化出来るなら、その場でやればよさそうなのに…なんて。
こちら(CSSがすごいことになってるページだけど…)では入稿PDFは埋め込み、またはアウトラインをかけるとのこと。この文面からすると、埋め込まれていないフォントがあるかもしれないから、アウトラインをかけてね、ということなのかも。
Graphicさんではアウトラインは不要。
Twitterで「アウトライン PDF 入稿」で検索すると、いろいろ出てくる。皆様の経験値、新人にとっては貴重な体験談。InDesignの書籍でアウトラインは、ウワー。。。
InDesignでもアウトラインはかけられるけれど、トラブルがあるようだ。以前、アウトラインかけてねと言われて、久々だったのでInDesignにもかけたら、「InDesginにはかけなくていい」となった。
イラレにはかけて、InDesignにはかけない不思議は未だ残るが。。。
ちなみに『アウトライン安全神話』と出てきたので検索→全く出てこない笑。昔からの名残なのだろうかと思い始める。
アウトラインをかける理由2:結局リスク回避
Twitter検索の結論としては、印刷会社によるところが大きそう。大手ならと思ったが、Graphicさんは既出の通りかけなくてOK。ところがプリントパックさんは「原則としてアウトライン化」とあった。プリントパック入稿だから、先輩から「アウトラインかけてね」と言われるのですね。
きっと受注量も多いから、トラブルを対処するより、アウトライン化を基本とすることで事故を防いでいるのだろうか。
そうなると気になるのは、InDesignはアウトラインをとらないで、イラレだけアウトラインをとるという謎が残る。
InDesignとイラレのアウトラインは仕様が違うらしい。
かゆいところまで記述されているサイト。Illustrator9より前はフォントの埋め込みが不完全だったよう。そういった経緯で、アウトラインは昔は神的操作だったと思われる。
InDesignとIllustratorのアウトラインの違い
最後にズバッと先輩に質問していただいた、納得した内容は、
- 基本的にInDesignはページ物のソフトであるため、テキスト量が多い
- テキストの多いファイルに、一括でアウトラインをかけるのはリスクと手間がかかる
- InDesignでは文字組が基本、テキストボックスのためアウトラインをかけると改行や文字間が変わってしまう
- ページ物だと、イラレほど特殊なフォントを使うことが少ない
なるほどー。さすが、ここまでたどり着いて聞くと、すっきりした回答。
ソフト・用途が違うというのも確かに。
テキストボックスのアウトラインでのバグは一度経験したけれど、よくあるらしい話。
バージョンや設定にもよるらしい。InDesignのアウトラインでバグるというのは、ソフトの特徴によるのか、テキストボックスによるものなのか、そこまでは見つからず。
以前何かでイラレのアウトライン表示で妙なことになった記憶があったけれど、今回InDesignの検証でアウトラインを色々かけてみたところ、ジャスティファイの崩れなどがあった。うーん、InDesignのアウトラインはイマイチのようで。
普通にテキストフレームを選択したアウトラインは問題ないけれど、テキストツールで選択するとずれる。そんな掛け方はしないでしょうけれど、今回バグ探しであったのはこれくらい。基本シンプルにかければ問題ないと思われる、多分。
検証用のテキストは、箇条書き、ジャスティファイ、連結したフレーム。
アウトラインをかけるとこんな感じに。
箇条書きが変わり、ジャスティファイも消失。
離してみるとこんな感じに。InDesignでアウトラインをかける時はテキストフレームを選択してかけるべし。それでも詰めなどはチェックした方がいいのかもしれない。
PDFのアウトライン問題のまとめ
制作側としてはPDFにアウトラインを取る必要がない。
印刷側としては事故があったり不備がないように、PDFにアウトラインはかけてほしい、ということが令和の今でも続いているよう。
制作側の埋め込み漏れなど、トラブルが減れば印刷側のアウトライン信仰も減少するのかもしれない。お互いで歩み寄り・レベルアップすれば、PDFにアウトラインという工程はいずれなくなるのだろう。
個人的には工程が一つでも増えれば、ミスのリスクも一つ増えるので、出来れば無駄は減らしたい。また、それによって起こる、アウトライン前Ai・アウトライン後Ai・アウトライン後PDFというファイルが増殖するため、無駄なファイル管理も必要になるので、かけなくていいならかけたくない。
ひとまず自分で納得したので、基本はかけたくない姿勢wで、印刷所に応じた対応がスマート。そのためにも日頃からファイル管理が重要。医療と違ってスタンダードが存在しない世界。自分なりのルールづくりも大切と感じた。
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