単位のために働くのではない
ここまで大変な作業でしたが、ついに集大成を迎えます。
リハビリテーション科の問題になりやすいのは、人員配置だと思います。実際にどれくらいのスタッフが必要なのか、意外と数値で判断するのは難しいような気がします。これくらい、統計を出しているところがあるのかもしれませんが、検索してもリハビリの業績や統計といったものが出てこなかったので、今回まとめたくらいゆえに、意外と管理されていないのかも?
とにかく単位をとる、業績を上げる、1日◯◯単位!と色々目標が掲げられていると思いますが、実際それを達成できる環境であるのか、まで考えられているのでしょうか?
確かに、1日あたり18単位が標準として設定されていますが、療法区分別に作業量が違ったり、実際に上限以上の単位をとって、実際は他の人にとってもらったり…なんてことが、現場では多く聞かれます。
つまりは、適切な人員配置の元で「18単位」がとれる環境作りが必要なのではないでしょうか。
18単位と言われているから18とるんだ、ではなく、18単位が取れる環境にしてから、18単位とるように掲げるべきです。その環境になっていない状況で、単位だけ設定しては安全に医療を提供できないし、残業は増えるし、スタッフは疲弊するし、業績は思うように上がらないしで、いいことはありません。
働き方改革、と称するならばそれなりに出来る環境を提供するのも管理業務としては大切です。
人員配置の算出
検索して方法がなかったから模索した結果なので、統計学の先生から見たら間違っていることもあると思います。見つけたらぜひコメントをいただきたいです。ただ、転職する時期になったので、集中して記述できない&記憶が薄くなってきているので、備忘録として残します。
必要な材料としては、
- リハビリの病床稼働数
- 患者さん一人あたりの目標実施単位数
- 療法士一人あたりの目標実施単位数
です。
病床稼働率
診療科別のベッド稼働率=患者数となるので、計算がしやすいです。患者数は流動的になりますが、病床数は固定値なので、%が分かれば数値化できます。病棟のベッド数のうち、どれくらいの割合をリハビリ患者さんが占めているか、という値。
患者さん一人あたりの目標実施単位数
疾患別に違いがあるので、病棟が診療科別になっていれば、病棟に応じて単位数を別々に設定できます。
呼吸器なら2〜3単位、整形なら6単位前後、リハなら8〜9単位といった具合に設定し、患者別の単位数として用います。
療法士一人あたりの目標実施単位数
18単位で大体設定されると思いますが、施設の目標に応じて設定します。
以上の項目が決まっていないと算出できませんし、逆に決まっていないと統計自体導き出すことも出来ませんし、リハビリの方向性が決まっていなければ、目標や運営方針を決めることはできません。ある程度目標数は設定しておいた方がいいと思います。
実際の計算です。病棟稼働率から、リハビリの稼働病床数を算出します。
シンプルな例|400床の病院で、病棟稼働率の合計が300床だった場合、1床(患者さん)につき、3単位実施するならば、
300×3=900となります。
1人の実施単位数目標を18としたとき、
900÷18=50となるので、50人いれば、18単位の目標を維持して、病床数に対して3単位のリハを提供することが出来ます。
これは大雑把な骨組みです。これを病棟毎に算出しようとすると…
- 呼吸器病棟90床のうち稼働病床が50床、患者1人あたりは2単位
- リハビリ病棟50床のうち稼働病床が50床、患者1人あたりは9単位
- 整形病棟80床のうち稼働病床が70床、患者1人あたりは4単位
とした場合、
(50×2)+(50×9)+(70×4)=830となります。
830÷18=46.11111..となり、約47人いれば目標単位数を維持することが出来ます。
あとは、勤務時間や給料との兼ね合いなどもありますが、基本的に単位が基準となる職業なので、単位を軸に考えれば割り出しやすいかと思われます。
そして、これは理想の値であって、現実の値を算出して比較すれば、どこの病棟にどれだけ不足しているかも分かります。
または、療法区分別の単位数で計算すれば、PT/OT/STの人数の過不足も分かり、より具体的な数値を算出できます。
以上が人員配置の計算でした。
数値を見える化することで、必要な求人募集をかけられますし、不必要な人件費の削減にもなります。
また業務に応じて目標単位数を削り、管理業務や別の業務に割り当てて計算することで、役職別などにも応用が可能です。
これで最終回です。大変お疲れ様でした。
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