• 医師と療法士の距離

    2019/09/10
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  • リハビリは誰のためなのか

    業界を出た今、言えるかもしれないけど笑、医師とリハビリ療法士の距離は近いようで遠いところもある。

    全てに言えるわけではないけれど、やはり治療がメインの医師の仕事と、能力獲得のリハビリの仕事では、方向性が同じでも、アプローチは異なる。

     

    このことは、学生の時、実習地でも聞いた話で、最近も聞いたことから、10年以上たっても溝は埋まらないのだなと思った。

     

    要点としては、患者さんが本当に良くなるということを見失いやすい、という話。

    医師側のリハビリテーション

    医師じゃないのに、医師の立場というと恐れ多いのはもちろんですが、医師はやっぱり大変な仕事。

    診断と治療方針を決めなければならない、責任は大きい。原因が解明できるまで、検査や治療を試み、改善・治療していかなくてはならない。

     

    その治療の一つとしてリハビリテーションという選択肢がある。

    筋力向上や関節可動域の改善、ADLの練習などが必要!となれば、それ自体が治療となる。

    一方、検査的な方法として、または補助的な治療として、行うこともある。

    または、予防的な方法として、メインの治療ではないけれど、機能・能力の維持は必要、また体力の低下が見込まれる場合に必要なときに行うことがある。

     

    主にはこのような選択肢になる。そのため、リハビリテーションの実施により、改善することは患者さんにはよいことだし、選択肢として適切だったということになる。

    療法士のリハビリテーション

    検査・評価から、療法士なりの原因追求をし、弱っている・または妨げとなっている要因を、運動療法をはじめ、様々なリハビリテーションの方法で改善していくことが主。

    療法士は医師とは違い、手術や検査などは手や評価キットを用いて行う、非侵襲的なものが多い。そのため、全てを客観的に評価することは難しい(姿勢、筋力、動作、脳の機能など)。

     

    ただ、生活の支障となっている原因を追求し、改善して再獲得するか、または他の方法を探し・獲得するか、などどうにか生活ができるよう提案する。

    患者さんのリハビリテーション

    最近親族に起こったことでは、転倒し、膝を打撲したことで正坐ができなくなってしまったという話。

     

    打撲したので病院へ行ったところ、「軟骨がすり減っているから、(省略)湿布をしましょう」ということで、処方された湿布を使用。受傷後だったため、腫れており、熱感もあったため、しばらく様子を見ること3ヶ月。

    歩き始めの痛みや正坐ができないことは変わらず、その間も受診し、ヒアルロン酸の注射をしてもらう。

    診断の内容は変わらなかったそうだ。一応、療法士として評価と運動練習を伝達する。

     

    こういうときに起こるずれ。

     

    医師側:軟骨のすり減り(変形性関節症かな)があるため、痛いのは仕方がない。だましだまし使っていくしかない。

    療法士側:腫脹が変わらない。膝のアライメントの崩れ、大腿の筋力の萎縮と筋力低下から、左右差が目立つ。筋力向上や他の硬くなった筋のマッサージで、腫れを減らし可動域も改善していきたい。

     

    よくあるけれど、リハビリ側は、来た患者さんをなんとか改善したいという方向になる。たとえダメでも他の方法を探る。なので、↑のような細かいプランを立てると、嫌がる医師もいる。なぜなら、軟骨のすり減った膝は仕方がないから。

     

    もちろん、これはたまたま身近に起こった例なので、全てがそうではないということは前提として、リハビリ自体を嫌がる医師もいるということ。受診したクリニックにはリハビリの部屋があるらしい(内容は不明)けれど、処方されることはなかったそう。そして、療法士評価を医師に伝えてしまった笑ので、医師からは「膝の位置を治したからって腫れが減ったりするわけがない。むしろ運動したら悪くなる」と言われてしまったそうだ。

     

    ただ、本人としては、「骨が折れたりしたわけじゃないのに、正坐はできないものなのか」「正坐ができないと困る」「歩き始めがまだ痛い」といった、困った訴えは続いている。シンプルな疑問を解決できないもどかしさ。

    その後の経過

    筋力トレーニングで、ようやく大腿四頭筋のセッティングができるようになる程、萎縮していた筋。3ヶ月以上運動していなかったため、戻るにも時間を要した。あとは代償した筋のマッサージぐらいで、日に日に痛みは軽減し、正坐まではあと少しというところまで戻っていた。歩き始めの痛みも軽減し、走ったりすることもできるようになった。

     

    自分は療法士の立場なので、療法士寄りになるかもしれないが、医療従事者として、患者さんの「困った」を改善するという意味ではどの立場も同じと思われる。医師側の立場になれば、違った見え方はあっても、向かう方向は変わらないはず。ラジエーションハウスみたいに、両方の立場になれば、分かることかもしれないけれど。

     

    そんな思いが詰まったドラマに見えたので、とても面白かった。技師(療法士)と医師の距離。

     

    本当の意味で、患者中心の医療というのは、まだ先になりそうだ。

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