やってしまった、白のオーバープリント。。。
入稿時のチェックはしていたものの、流用したデータにオーバープリントがあると気づきにくいものです。注意していても意図しない箇所に設定されていると見逃しやすいので、ほんと注意したいと猛省OTL。
自分では基本的に使わないので、流用データであることがほとんど。入稿前はイラレのオーバープリントプレビューでチェックをするものの、基本的に目視であること、PDFプレビューがうまくいかないことがあり、かなり人力だと思っていました。ところが、今回の反省と対策を考えていたところ、イラレの初期設定に驚きと恐怖を感じたので、備忘録として残します。
歴史があっての機能のようですが、非常に危険なのではないかと思っています。
結論:「ドキュメント設定」内、「出力で白のオーバープリントを破棄」のチェックは外した方が吉
発見の経緯は、Acrobatの出力プレビューやプリフライトでチェックしてくれないかな?と検索し、ChatGPTにも相談するも、いくら設定しても、白にかかったオーバープリントが、エラーとして引っかからないのです。
プリフライトは、以下のようにマシマシで設定しました↓
さらに「オーバープリントをシミュレート」、「ページにオーバープリントが含まれる」に「はい/いいえ」を設定しましたが、ミスっている白いオブジェクトが消えずに表示されるのです!プリフライトでも反応しないので、これは何かがおかしい…
(後ほど気づきましたが、「白のオーバープリント」破棄なので、他の色にかかっていると「はい」と反応します)
Acrobatでのプリフライトや出力プレビューで”オーバープリントが含まれる「いいえ」”と問題なしになっているも、元のイラレには問題がある状態。つまり、イラレとPDFの内容が変わっているのです。
根本の原因は、PDFで確認をしているから、でした。またしても遠回り。
イラレの「ドキュメント設定」にある、「出力で白のオーバープリントを破棄」。これが初期設定でオンになっていることが原因です。
全く知りませんでした…。これはPDF入稿時には安心できる設定ですが、イラレ入稿時にはPDFとデータがイコールにはならない恐ろしい設定でもあります。それに今回はまってしまいました…
こちらの記事をきっかけに気づきました。
ちなみに「出力」するもの全てに共通なので、どの形式のPDF(X-1aでも、最小サイズでも)でも破棄され、出力しても普通に表示されてしまうので、確認する術がありません。
唯一正しく表示されたのは、イラレの出力プレビューの小さいウィンドウが正しく表示していました。なんとちいちゃい。
この機能が追加された理由は、長年の印刷事故の問題があったようで、ようやくCCから追加されたようですが、失礼ながらかえって危険に感じました。出力見本と元データがイコールでないため、大変危険。むしろ事故が増える気がします。さらに、デフォルトで「オン」になっているので、入稿はPDFしかしない!ならよいのですが、完全データ入稿をする人は、基本的にオフにした方がいいかと思います。
InDesignは機能が優秀なので、白にオーバープリントをかけると自動で破棄されるため、あまり心配はなさそうです。
リスク:元データと見本が違うことで起こること
- PDFでは正しく見えていたのに、印刷すると白いオブジェクトが消えてしまう
- 普通のプリンターでは問題なく印刷されるため、データ上のミスに気づけない
- JPEGやPNGの見本では、透明処理やオーバープリントの影響が分からない
- 初期設定をオフにする
- プリフライトチェックを徹底する
対策:「出力で白のオーバープリントを破棄」をデフォルトでオフにする方法(Mac)
Illustratorのデフォルト設定を変更することで、毎回手動でオフにする手間をなくすことができます。
- Finderで以下のフォルダを開きます
/Users/【ユーザー名】/Library/Application Support/Adobe/Adobe Illustrator 29(またはバージョン番号)/New Document Profiles/ - プリント.aiがあるので、ファイルを開きます
- ドキュメント設定で、例の場所をオフにして上書き保存。
- イラレを再起動
以上で、デフォルトでオフになります。
他の方法として、毎回チェックをオフにする・スクリプトを使う などの手段もありますが、この方法なら1回設定すればOK なので、作業の手間を減らせます。
最後に、プリフライトチェック を忘れずに行い、エラーが正しく検出されることを確認してください。
Illustratorで入稿する方は要注意!
最近では技術の進歩もあり、オーバープリントを使う機会は減ってきています。
しかし、もし使う場合は 「どこにオーバープリントを設定したか分かるように、アートボード外にメモを残す」 など、事故を防ぐ工夫が必要です。
入稿前のチェックは慎重に!
見本PDFと元データの整合性をしっかり確認しましょう!
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